2010年06月02日

認知症の公開講座に行ってきました

先週の土曜日、NHKなどが主催する「本人に寄り添う認知症ケア〜施設で、家庭で〜」という公開講座に行ってきました。

良い話だったので、メモ的に書きます。

正味2時間半で、前半が二人の先生による、認知症の介護についての話、後半があらかじめ募集していた質問に対して、先生方が答える、というものでした。

ケアマネジメントオンライン - 現場の悩みに一問一答、認知症フォーラムレポート

ほぼ満席(380人ぐらい)で、最初に司会の女性が、参加者の内訳を聞いたところ、半分以上が認知症の方を家族に持つ人、残りが認知症の方を介護する施設で働いている人と、行政の人のようでした。

お二人の話はどちらも非常にためになったのですが、特に前半の佐々木健氏の話が面白いというか、豪快な喋り方で、印象に残りました。

佐々木先生は、1984年、岡山に日本初の認知症高齢者専門病院を開設された方です。

きのこエスポアール病院


以下、先生のお話から抜粋です。


認知症病棟における入院治療理念の変遷


きのこエスポアール病院の、治療に対する考え方の歴史です。
開院当時と今とでは、雲泥の差ですね。


1984年〜1990年


●ケアなき時代(拘束の時代)
医療と生活は別と考えられていた。


1990年〜1995年

●ケアも必要と考えていた時代(ケアのための生活の時代)
医療と生活とケアは別ではあるが、一部重なり合うところもあると、考えられた。


1995年〜現在

●ケアが必要と認識された時代(生活のためのケア ユニットケアの時代)
医療・ケアは生活の中に組み込まれている。



医療の見方と認知症ケアの古い見方と新しい見方


認知症になると、中枢症状というのが起こります。
これは記憶障害、見当識の喪失、失計算、失語などがあります。

医療では、この中枢症状が原因となって周辺症状が起きると考えるそうです。
周辺症状とは、いわゆる問題行動のことで、具体的には徘徊、妄想、異食、幻覚、攻撃的行為、不潔行為などです。


認知症ケアの古い見方というのは、この医療の見方とほぼ同じです。

認知障害が、直接問題行動を引き起こすと考えます。
分析して、対処、対応していきます。
具体的には、患者を薬物などで抑制したり、拘束したり、あるいは流れ作業的ケアをするというものでした。


認知症ケアの新しい見方、これは現在のきのこエスポアール病院のユニットケアの理念とつながるものです。
これは認知症高齢者の行為を分析だけではなく、解釈によって理解しようとするものです。


医療の見方やケアの古い見方では、

中枢症状→周辺症状(問題行動)

と考えます。


これがケアの新しい見方では、

中枢症状→【個性、人生歴、健康状態、環境、個人の心理、社会心理】→周辺症状(問題行動)

と考えます。


何故、徘徊するのか、何故異食するのか、


単に、脳の機能が障害を起こしている、と考えるのではなく、

その行為の背景にある、その人の人生そのものに目を向けるのです。

そうすると、その行為の真の原因が見えてくるという事です。



佐々木先生が力説されていたのは、
物理的、物質的な介護、ケアではなく、患者を物としてみるのではなく、様々な体験を経てきた一人の人間として、人対人のケアが大事なんだという事。


今まで、認知症の患者の見方というのは、


認知症     の      人



でした。
病気の面ばかれに重きを置かれていると。


これからは、



認知症   の   



という見方に変えなければいけない。


認知症という病気を持った人という見方をしましょうという事です。


その人に寄り添い、その人を理解しようとすることで、ケアそのものも変わってきます。



この、相手に寄り添い、理解しようとするケアを、先生はPPW(Positive Person Work)と呼んでいます。


PPWが有る時の“その人らしさ”の維持は、山→谷→山→谷というぐあいに、ある一定の周期を保って、維持できたり、維持できなかったりを繰り返しながら、最後に死を迎えます。

知的能力の低下もゆるやかに低下していきます。

PPWが無い時、“その人らしさ”は維持できません。
らしさは、失われ続けます。

PPWがある時のような、良くなったり悪くなったりという事はなく、一環してその人はその人ではなくなっていきます。

知的能力の低下は、PPWが有る時よりも急激に下がっていきます。



先生が提唱されたのは、


共に生きる認知症ケアです。

それは、


  • 「人対物」の関係から「人対人」の関係に基づくケア

  • 人間としての共通点に視点を移したケア

  • 病人中心のケアから人間中心ケアの意識変化を(伝統的、標準的な医療モデルからの独立)




今は、医療は進んできているが、ケアの面ではまだまだ、と先生は仰います。

医療とケアが二つ並立して、認知症の方を支えてあげるのが理想だと。


勉強になりました。





posted by hyg-27 at 16:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | 美容・健康に関する情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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