2010年12月23日

冬の小鳥

永六輔さんがラジオでこの映画の話をされた時、思い出して泣いてしまった、という話を聞いて前々から見たいと思っていました。

感動しました。
いろいろ書いてしまいました。
ネタバレしてるところがありますので、どうかご注意ください。
映画|冬の小鳥|オフィシャルサイト

ジャンル: 感動の物語
製作年: 2009年
製作国: 韓国、フランス
監督・脚本: ウニー・ルコント
プロデューサー: イ・チャンドン / ロラン・ラヴォレ / イ・ジュンドン
出演 :キム・セロン、パク・ドヨン、コ・アソン、パク・ミョンシン、オ・マンソク、ソル・ギョング、ムン・ソングン他   



主人公のジニ、


映画の冒頭で、満面の笑みが印象的です。

父親のこぐ自転車の前に座って心地良い風を口に受けて、彼女はとても幸せそう。

実はこの一番最初のシーンが、ジニの一番素敵な笑顔。


この笑顔以降、彼女は笑いません。


ほとんど笑顔がありません。

カトリックの児童養護施設に入れられて、「自分は間違ってここに入れられた。早く父さんに会いたい、父さんのところに帰りたい」

父が自分をここに入れたという現実を、どうしても受け入れらない。

彼女の思いはかたくなで、施設のなかで、誰とも打ち解けず、孤立していたのだが、少しずつ心を開いていきます。

だけど笑わない。

写真を撮るとき「笑って」という声にも、無表情で写ります。


この施設では、親がいない孤児や親の事情で入る子などがいるのですが、時期をみて子どものいない夫婦に子どもたちを紹介します。

夫婦が気に入ればその子を引き取っていくんですね。

映画の中では、引き取られていく子どもとそれを見送る子どもたちの別れの場面が何度か登場します。

残った子どもたちは蛍の光を歌う。

引き取られる子どもはそれを聞きながら、やがて車に乗って、施設の門を出て行く。


子どもたちが次々に引き取られていくのですが、映画の中で重要な役割をする子ども2人が、対照的な描き方です。

最初は年長者のイェシン。

彼女は足に障害があり、びっこで歩くのですが、施設の中で最年長で子どもたちの良きまとめ役という立場の子。


大きくなっても引き取り手がなかったのは、足の障害のせいかもしれません。

そんな彼女を引き取りたいと言ってきたのは、年老いた夫婦。

イェシンは「自分を家政婦として働かせるつもりなんだ、私は行きたくない」と言います。

実は彼女は、施設に立ち寄る業者の男性に、密かに心を寄せていたのですが、振られてしまいます。

結局彼女は、心のうちではいやいやながらも、老夫婦に引き取られていきます。


次に引き取られたのはジニが唯一心を許したスッキ。

彼女は施設に来たアメリカ人夫婦に、自分を一生懸命アピール。

英語を勉強し、自分の夢を語り、未来の人生に希望を持って、引き取られていきます。

アメリカ人夫婦、スッキ、相思相愛の仲といってもよいほどに、お互いが望んで親子になろうとしています。


そして、ジニの番。

ジニはどうかというと、嫌々ながらでもなく、自ら望んで、でもない。

なるようにしてなった、という感じです。

フランスの夫婦と、写真を介してのやり取りで引き取られていくジニ。

服のサイズを直してもらっている時、ジニは歌を歌います。

「なぜあなたは私を捨てたのでしょうか。きっとあなたは後悔してるでしょう」


ジニと残された子どもたちが、最後に一緒に集合写真をとるのですが、その時、ジニは初めてニッコリと笑顔になります。
施設に来てから初めてだったのでは。

でも、この笑顔、お父さんの背中ごしに見せたあの笑顔には遠く及びません。


蛍の光を聞きながら、車に乗り込むジニ。

フランス行きの飛行機に乗りながら、思い浮かぶのは自転車に乗ってお父さんの背中にしがみついている自分。

フランスで、新しい人生を歩もうとしているなかでも、父親のことが忘れられない。


フランスについて、空港の送迎のフロアで、ジニは「自分の新しい養父母はどこだろう?」と風で、前をまっすぐに見ているシーン。


ここにも笑顔はありません。

でも施設ですさんでいた頃のような険しい顔でもありません。

自分のこれからの人生を、絶望ではなく、かといって喜びでもなく、受け入れていくしかないんだ、という顔です。



冬の小鳥というタイトル、英題はA BRAND NEW LIFE というらしいですね。


映画の中で、傷ついて飛べなくなった小鳥をジニたちが助けます。

施設には内緒で、こっそりえさを上げて介抱し、育てていました。

ところがある日、雨に打たれてしまい、それがたたったのか、死んでしまいます。


ジニとスッキは小鳥を土に埋めて小さな十字架を立て、天国に行けますように、と祈るのです。


思うに、

ジニがこの小鳥なんですね。

父に捨てられ、施設に入れられたジニは、傷ついた小鳥そのものです。


父の居場所も分からなくなり、もう父とは二度と会えない、そう悟ったジニは、自分を小鳥と同じように埋葬しようとしますが、結局できません。


小鳥は死んでしまった。

だけどジニは弱ってはいても、傷ついてはいても、一度は死のうとしたけれど、

でも羽ばたこうとしている。


最後のシーン、ジニのまっすぐに前を見る姿で終わります。

「俺たちに明日はない」のボニーアンドクライドの最後を思い出しました。
これは警官の銃を撃つ音が鳴り響く音のなか、二人が小屋を飛び出して終わる壮絶な終わり方でした。

最後の、ジニの顔、笑顔ではなく絶望でもなく、ただあるがままを受け入れよう、そんな凛としたすてきな顔でした。


永さんが、

「映画を見てるときは泣かなかった。思い出したら泣いてしまった」

というのはよく分かります。

見終わったあと、振り返ってみると、

たしかにジーンときますね。


おすすめです。



見た感想(ちょい甘め)
項目指数(星の数が10が最高)
ストーリー展開
面白かった
感動した
見て良かった




映画『冬の小鳥』予告編


posted by hyg-27 at 21:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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